イエテボリ大学の教授の講義を聞いてきました

5月はいろいろな勉強会が開催され、毎週日曜日は東京方面に足を運びました。その中で特に印象に残った講習会を二つ紹介したいと思います。
一つは、スウェーデンのイエテボリ大学歯周病科の主任教授が来日し行った講義です。
テーマは「最新のインプラント周囲炎に対する治療方法」です。

イエテボリ大学の教授の講義を聞いてきました_01

イエテボリ大学は、歯周病およびインプラント治療において世界で最も有名な大学で、その教授は世界的な権威者です。
インプラント周囲炎はその特徴として、天然歯とインプラントには周囲組織の違いがあるため、ひとたび炎症を起こしてしまうと急激に悪化しやすい、そしてまた治療が困難であるということです。
2012年、パシフィコ横浜で開催されたCAD/CAM学会(クインテッセンス社主催)で、私もインプラント周囲炎の治療方法についてスピーチをさせていただきましたが、共通する治療方法が幾つかありました。あれから3年以上経ちますが、まだ目新しい治療法は確立されていないのが現実のようです。
ただ2012年に私がコメントしたように、重篤なインプラント周囲炎に移行する前、すなわちインプラント周囲粘膜炎の段階で早期発見し、メインテナンスを中心に治療を行うことが最大の治療法であり、長期にわたりインプラントを機能させる方法であると今回の講義を聞いて、あらためて確信しました。
しかしメインテナンスが滞るなどして発見が遅れ、インプラント周囲炎に移行してしまった場合、リカバリーの方法はインプラントの種類、表面性状によりかなり異なります。
インプラントの種類には色々あり、国産のものや海外で製造されたものもあります。現在はルートフォームと言って歯根に似せた形状が多く、ほとんどのインプラントはスクリュー型で早く骨につくよう様々な表面加工が施されています。
加工の種類によってインプラント周囲炎に移行しやすいもの、移行しにくいものがあります。特にHAでコーティングされたものは現在アメリカとヨーロッパでは使用されていません。日本では多くの先生方が使用しておられますが、臨床で診ると、インプラント周囲炎になり当院に初診で来院される患者さんの場合、他院で埋入したHAインプラントが多いように感じられます。この他、タイユナイトという表面性状のインプラントも、ひとたび周囲炎に移行すると骨の欠如が著しいと感じます。
当院ではサンドブラスト酸エッチング処理されたインプラントを使っています。その代表的なものはストローマン社のインプラント、そしてデンツプライ社のXiveインプラントです。これらは周囲炎になってもリカバリーすることが可能だと考えています。
表面性状だけではなくインプラントの形、歯を作るためのシステムなど患者さんに充分な情報をお伝えして、どの種類のインプラントが最適であるかという説明を充分行わなければならないと思います。
特に、インプラントを埋入する隣に既にインプラントが存在する場合、インプラント間の距離が確保できない場合は、プラットホームシフティングのインプラントを選んだ方が良いケースも数多くあります。

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