ラテラルウィンドウテクニックで上顎骨に窓開けする部分に動脈が走行していた症例


60代の女性です。左上の4、5番欠損で来院されました。
欠損補綴の方法としては、3番と6番を支台歯としたブリッジ、局部床義歯、インプラントの3つの選択肢が考えられました。
ご本人はインプラントを選択しましたが、通法どおり模型、口腔内写真、CT、パノラマレントゲンで精査したところ、上顎洞底までの垂直的な距離が少なかったので、上顎洞底挙上手術が必要でした。
日本人の場合は上顎洞底までの距離が少ないために骨造成を行うケースが非常に多く、6割以上は何らかの方法で骨造成を行っています。
こちらの患者さんの難しかった点は、上顎洞底挙上手術(ラテラルウィンドウテクニック)で窓開けしたいところ(上顎骨の側面)に、後上歯槽動脈の枝が走行していたことです。
血管の走行を避けて窓開けを行うのが今回のポイントでした。
したがって今回は手術をより慎重に行う必要があり、オペ時間は1時間30分ほどかかりました。
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いろいろとサイナスリフトを行っていると、その患者さんの解剖学的な状態によって難しい点が出てきます。例えば、動脈の存在が関係する場合、同粘膜が薄い場合、上顎洞底部の形が平坦でなく隔壁や棘があったりする場合などは挙上が難しくなります。
したがって安心安全な治療を行うためには、経験と術前の診査、診断が重要になってくると思われます。

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