私の印象に残った治療例 1

当院には、インプラント治療以外にもさまざまな症状の患者さんが来られます。本日は、口腔外科的な治療を行った症例を紹介します。



この方は40代の女性です。主訴は、左右両側の上顎の小臼歯部あたりが腫れて痛いということでした。まずパノラマレントゲンで検査しましたが、平面的な画像では診断しづらかったので、CT画像で確認をしました。
◆術前のCT画像
術前のCT画像 術前のCT画像
術前のCT画像 術前のCT画像
CTの3D画像で見ると、右上の5番部に大きな歯根膿胞が、左上にも大きな歯根膿胞があり、膿がたまった状態でした。
歯根膿胞摘出前
前の治療から何年も経っているので、膿胞が徐々に大きくなったと考えられます。困ったことに、左右両側の4番5番の歯を抜歯しなければならなくなりました。
年齢的なことを考えれば、両側の4番5番を抜くことに加え、前歯にも欠損があったので、入れ歯を入れるというのも一つの方法と思われましたが、ご本人は、できれば固定式の仮歯がほしいということでした。
◆術前に製作した仮歯
術前に製作した仮歯
術前に製作した仮歯
術前に製作した仮歯
手術前に立てた計画は、静脈内鎮静法を使って抜歯とともに両側の歯根膿胞を摘出し、その日のうちに右上の6番から反対側の6番までの仮歯を装着して帰っていただくというものです。
◆歯根膿胞
歯根膿胞
CT画像を見ると、ラッキーなことに上顎洞に0.5ミリほどの骨が(ポテトチップスの厚み程度)薄く残っていました。つまり、この薄い骨を壊さないように綺麗に歯根膿胞を摘出すれば、口腔と上顎洞とがつながらないで済みます。
◆歯根膿胞を摘出
歯根膿胞
歯根膿胞
◆摘出した歯根膿胞
摘出した歯根膿胞
実際、非常に神経を使う手術ではありましたが、私は地域中核病院で全身麻酔を使った手術を数多く手掛け、経験を積んできたので、今回もできるという確信を持って行いました。
 おそらく、普通の歯医者さんに行ったなら、大学病院の口腔外科に紹介され、そちらで全身麻酔の手術になったに違いありません。
◆3D画像
術後のCT画像
この患者さんの場合、口腔外科的な手術は全て完璧に終わりました。今後は、どのくらい治癒したかCT画像等で精査しながら治療計画をしっかりと立て、患者さんの希望に沿った補綴治療を行っていく予定です。
静脈内鎮静法(セデーション)の患者記録表
静脈内鎮静法(セデーション)の患者記録表

このページの先頭に戻る 医療法人社団 友生会 トップページへ