60代の男性です。上顎前歯部の4歯欠損に対し、両側の2番にインプラントを埋入し、
インプラントを使ったブリッジを装着しました。隣の天然歯3番は他院で作った古い前装冠が入っていたので、セラミック冠に置き換えました。
この症例で難しかった点は、下顎が前突気味(骨格性Ⅲ級)で噛み合わせが悪かったことです。このような症例では、パノラマレントゲンやCTだけでなく、矯正用の頭部X線写真を撮ることが重要です。どの程度の下顎前突なのか調べます。
患者さん自身はできるだけ見た目を正常な状態にして欲しいとおっしゃいます。そこでぎりぎり上下の歯が合わさる切端咬合に近づけるようにしています。
そのためにもこうした症例では、治療前に最終的な上部構造のシュミレーションをして最後形態を患者さんに見せて同意を得ます。
とくに前歯部のインプラント治療では、術前の口腔内写真を必ず5方向から撮るようにしています。治療後、患者さんに対して「術前はこうでした」ときちんと説明できることが重要です。治療が終わると、患者さんは治療前の状態を忘れてしまうようです。



