顎変形症について、よくあるお問い合わせとその回答です。
- 顎変型症の手術をする場合、入院が必要と聞きましたが、どれくらいの日数がかかりますか?
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手術には1~3時間、入院は7~14日間程度です。熟練した麻酔医の元に全身麻酔下で行いますので手術中の痛みは全くありませんが、術後多少の痛みと腫れをともないます。しかし術後の入院管理がしっかりしており、退院後すぐに仕事に戻ることが出来ます。
- 口が開きづらく、口を開けるたびに顎のずれる音がします。偏頭痛もするのですが、この症状も顎変型症に該当するのですか?
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このような症状は顎関節症と思われます。顎関節症とは、顎関節と周囲の筋肉の病気で開口障害・関節雑音・顎関節痛が主な症状です。偏頭痛のような症状が出現する場合もあります。原因はいろいろな因子が複合して発症するといわれていますが、一つの要因として顎変型症もあげられています。ですから顎変型症の治療後に顎関節症が治ったという方もなかにはいらっしゃいます。しかし、顎関節症と顎変型症は互いに影響はありますが、別な病気ですので顎関節症はきちんと治した方がよろしいでしょう。
- 長年「受け口」で悩んできました。何とかしたいとずっと思っていたのですが、治療費・治療期間はどのくらいかかりますか?
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顎変型症「受け口」の治療は、発育期の矯正治療、顎変型症手術、術後矯正を行うのが一般的です。また、治療期間は症状によって変わりますが、3~4年かかるケースが多いです。しかし、矯正治療を受ける機会を逃し、欠損歯牙も多くなり、歯周疾患も起き…というように治療が難しくなったケースも少なくありません。そうしたなか、矯正治療を希望せず短期間での治療を希望する患者さんもいらっしゃいます。このケースでは、矯正治療のかわりに術前の歯科治療、顎変型症手術、術後の審美歯科治療を行い、治療期間は3~12ヶ月程度と比較的短期間で終了することが出来ます。
- 顎変型症の手術には高額なイメージがありなかなか踏み切れません。
「高額医療費療養制度」の申請をすると、医療費がいくらか戻ってくると聞いたのですが、どういう場合その制度の対象になるのですか? -
高額医療費の支給は下記のようになっています。
● 支給が受けられる場合
医療費の自己負担が高額になったとき、申請をして認められた場合に、限度額を超えた分が高額療養費としてあとから支給されます。なお、老人保険の一部負担金は別計算となります。
■ 自己負担限度額(月額) | ||
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区分 | ||
上位所得世帯 | 139800円+(医療費-466000円)×1% (4回目以降限度額 77700円) |
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一般世帯 | 72300円+(医療費-241000円)×1% (4回目以降限度額 40200円) |
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市民税非課税世帯 | 35400円 (4回目以降限度額 24600円) |
上位所得世帯とは、基礎控除後の総所得金額が670万円を超える世帯をいいます。
所得の確認ができない人がいる世帯の場合も上位所得世帯に含まれます。
■ 前期高齢者の自己負担限度額(月額) | ||
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区分 | 70歳以上(老健を除く) | |
外来限度額 (個人単位) |
入院及び世帯の限度額 | |
一定以上所得者 | 40200円 | 72300円+(医療費-361500円)×1% (4回目以降限度額 40200円) |
一 般 | 12000円 | 40200円 |
低所得Ⅱ | 8000円 | 24600円 |
低所得Ⅰ | 8000円 | 15000円 |
- 一定以上所得者
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同一世帯に一定の所得以上(市民税の課税所得が124万円以上)の70歳以上の方叉は老人保険対象者(以下「高齢者」)がいる方。ただし、高齢者の収入の合計が、一定額未満(高齢者が1人の場合:年収450万円未満、2人以上の世帯の場合:年収637万円未満)である旨申請があった場合を除きます。
- 低所得Ⅱ
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世帯主及び世帯全員が市民税非課税の世帯をいいます。
- 低所得Ⅰ
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世帯主及び世帯全員が市民税非課税で、世帯全員の所得がない世帯をいいます。
※ 所得の確認ができない人がいる世帯は、低所得Ⅰにはなりません。
前期高齢者と70歳未満の国保加入者(以下一般という。老健対象者を除く)がいる世帯では、前期高齢者の世帯の限度額を適用したあとに、一般の合算基準対象の自己負担を含めて世帯全体の高額療養費を計算します。
- 顎変型症の手術に、健康保険は適用されますか?
美容外科では適応外だといわれたのですが、手術内容は異なるのですか? -
健康保険は顎変型症によって噛みにくい(噛合不全)、食べにくい(咀嚼不全)、しゃべりにくい(発音障害)など、機能障害が認められた場合のみ適応になります。したがって、顎変型症による見た目(審美障害)の改善のみでは保険適用にはなりません。審美障害のみで手術をお受けになる場合は、機能障害の改善が図られず、形態的修正のみになる場合もありますので、若干手術内容が変わる場合もあります。
- 「受け口」の手術はリスクが高く難しいと聞いたことがあります。実際はどうなのですか?
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一般に顎変型症の手術は定型的なものが多いので、手術は安全に行われています。
しかし骨の手術ですので予想以上の出血や、腫れがひどかったりする場合もあります。そのような対策として、術前に自分の血をためて、術中出血時に戻す自己血輸血という方法がとられています。