10年以上前に埋入したインプラントの良好な状態を確認できた症例

80代の女性です。10年以上前に当院でインプラント治療を行い、しばらく来院されていなかった患者さんです。今回、右下5番の天然歯が金属の土台ごと外れたということで来院されました。
数年ぶりだったため、パノラマレントゲンで全体の画像診断をしたところ、10年以上前に埋入したインプラントは非常に経過良好であることが確認できました。9本のインプラントがきれいに埋入され、固定式のブリッジが装着されていることが画像からわかると思います。

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私が驚いたのは、88歳と言う年齢です。とても若々しく、その年齢とは思えないほどお元気だったからです。やはり、ものを噛めるということは、健康を維持するための重要な要素だと感じました。
東京都老人研究所が行った咀嚼能力と全身機能の調査によると、噛める人の方が骨のカルシウム量が多く、身体能力が高いということです。握力も片足立時間も、噛める人の方が歴然と良い結果が出ました。
もう一つ、興味深い研究結果があります。東北大学大学院の渡辺誠先生が70歳以上の高齢者1167人を対象に調査したところ、残存歯数が健康な人は平均14.9本に対し、認知症の疑いがある人は平均9.4本で明らかに差がみられました。歯の数が少ない人ほど、海馬付近と前頭葉の容積が減少しているというデータも報告されています。
これらのことから、今の歯科の臨床では欠損補綴の方法として義歯、入れ歯やインプラント治療が行われていますが、いずれかの方法で咀嚼機能を回復することにより、身体の健康を維持することができ、認知症への移行も遅らせることが可能だと私は考えています。

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