サージカルガイドを用いて上顎前歯部にGBRとインプラント埋入を行った症例

70代の女性です。
約17年前、右上臼歯部と左上臼歯部に、全身麻酔でサイナスリフト(ラテラルウィンドウテクニック)を行った患者さんです。当時埋入したのは、現在は製造中止となっているドイツのフリアデント社のIMZインプラントです。全身麻酔だったため地域中核病院のオペ室を借りて手術を行いました。
昨年の暮れに、上顎前歯部の天然歯を支台歯としたブリッジがグラグラするということで、どのような治療が自分にとって最善かと相談に来られました。
70代という年齢もあり、17年前に埋入したIMZインプラントを支台歯にしてインプラントオーバーデンチャーはどうですかと一つの治療法を提案しました。ところが、ご本人は「私は絶対に入れ歯を入れたくない、インプラントで治療をしたい」とおっしゃり、上顎前歯部にインプラントを埋入して、上顎はすべて固定式の歯で治療することを強く希望されました。
歯列模型や口腔内写真、レントゲン、歯科用CTで精査したところ、上顎前歯部にGBRを行えば4本のインプラントが埋入可能とわかったので、その方針で治療をスタートしました。
ただ、審美領域である上顎前歯部の場合、適切な深度、適切なポジションにインプラントを埋入しなければ、患者さんが満足のいく結果は得られません。そこで歯牙支持型のサージカルガイドを制作し、それを用いてインプラントを埋入しました。
サージカルガイドを用いると、一見手術時間が短縮できるように思われがちですが、粘膜、骨膜の剥離が必要な場合は、かえって時間がかかることがあります。
こちらの患者さんの場合はGBRが必要で、インプラントの周りに骨の補填剤を充填するために、粘膜、骨膜を剥離しなければできませんでした。
サージカルガイドは、執刀医がこれを使わなくても充分に治療できる手技を持っていて初めて有効な手段となります。最初からガイドばかりに頼りすぎるのはやめた方がいいと思います。
その点はガイド製作のメーカーも常々私たちに伝えていることで、あくまでも補助的な方法として考えた方が良いと思います。
70代であることに加え、減張切開を行ったため術後の腫れは多少出ましたが、術中・術後の抗生剤の投与により数日後には軽減し、今は完全に治癒しています。
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