前歯部に対し歯根端切除手術を開放創で行った症例


50代の女性です。上顎前歯部、右上3番から反対側の2番までの審美修復を希望して来院されました。
右上3番は、神経を取った失活歯です。前医で根管治療と根管充填が行われていました。
最近はCTが普及してきて、総入れ歯を作る時などでも先にCTを撮る先生が増えています。
この症例はインプラント治療とは関係なかったのですが、一応全体の歯の状態を把握したいので歯科用CTで検査したところ、右上3番の根尖部に大きな歯根嚢胞がありました。
保存的な治療と外科的な治療、どちらで対応するかご本人といろいろ話し合い、保存的な治療で対応するとしたら100%治るのか、もし治るとしてもどのくらいの通院回数と期間が必要なのか問合せを受けました。
ご本人の希望として、できるだけ早期に治したいということと、CT画像からもかなり大きな根尖病巣だったこと、3番の歯を支持する歯槽骨は影響を受けておらず、根尖部に病巣が限局していたことから歯根端切除手術を選択しました。
根管治療と根管充填を当院でやり直し、その直後に歯根端切除手術を行いました。
切開線の入れ方は根尖部だけにして、手術創としては、閉鎖創ではなく開放創で行っています。

開放創に軟組織が入り込まないよう黒いシルク(糸)でネット状に囲いを作り、中に抗生剤のガーゼを挿入して、後は週に一度ガーゼ交換を行います。


これはよく口腔外科で行う基本的な方法で、開放創で行うことのメリットは、右上3番の歯頸線がほとんど変化しないということです。
時間は20分もかからないくらいで終わりました。
このように、当院にはさまざまな患者さんが来院されます。歯科治療を行うには、とにかくいろいろな技術の引き出しが必要だということをつくづく感じています。

このページの先頭に戻る 医療法人社団 友生会 トップページへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA