日本歯科先端技術研究所の学術講演会に出席してきました

3月12日(日)、東京駅近くにあるステーションコンファレンス東京で、公益社団法人日本歯科先端技術研究所の学術講演会が行われ出席してきました。

認定医・認定歯科衛生士特別教育講演として「インプラント治療を成功させるための勘所」という演題で、日本大学特任教授の伊藤公一先生が講演されました。
基本的な事がらを復習する内容でしたが、その中で面白いと感じたことがありました。
最近の調査で、インプラント周囲炎をおこす原因の一つに歯ブラシの乱用がみられるということです。
インプラント周囲炎の中には、隣在歯の炎症により歯根の先端部から感染する「逆行性のインプラント周囲炎」というものもありますが、ほとんどは歯茎に接するインプラントの辺縁から炎症が起きてきます。 
辺縁に炎症が起きたインプラントを調べてみると、歯間ブラシの毛先や歯ブラシの毛先の一部が残留しているケースがあるということです。
これまでインプラント周囲炎の原因としては、インプラントを装着するときのセメントの残留や、患者さんが歯磨きをよくしていないためにプラークが付着していること、かみ合わせが悪く力のバランスが良くないために発生することが多いと考えられていたのですが、適切なポジションにインプラントを埋入しても、清掃性が悪ければインプラント周囲炎が起きるという報告がいくつかされているそうです。
こちらの伊藤先生は歯周病科の教授なので、こういったリサーチには詳しく、信頼できるデータだと思います。このことからも自宅で行うホームケアだけではなく、病院で歯科医師、歯科衛生士が定期的に行うプロフェッショナルケアの重要性を感じます。
患者さんから、よく「インプラントのメインテナンスは面倒ですか?」と聞かれますが、決して特殊なことをやっているわけではありません。口腔内の清掃が行き届いているか確認し、もし行き届いていなければ歯科衛生士が優しく指導させていただいています。
機械的な清掃を充分に行い、時には薬剤による殺菌療法や抗菌療法を併用することがインプラント周囲炎の予防につながります。時間は40分から1時間程度ですので、3か月以内に一度は来院していただきたいと思います。
そして、インプラント周囲炎は、絶対起きるものではありません。周囲炎になる前に、インプラント周囲粘膜炎の段階できちんとしたブラッシングや予防措置をとれば、骨の吸収にすぐにつながることはありません。
インプラントを埋入して15年以上経過良好という患者さんの共通点は、定期的にメインテナンスを受けて下さっていることです。長い時間の経過とともに、かみ合わせが変化することがあります。反対側の歯が虫歯になってインプラント側にかむ力が偏ることもあり得ます。メインテナンスでは、清掃性だけではなくかみ合わせのチェックも行っています。
チューリッヒ大学インプラント歯科学教授ラング先生が提唱したCIST(累積的防御療法)にのっとったメインテナンスが重要であると考え、当院ではこれを実践しています。

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