30代の女性です。
左上2番の口蓋側が腫れて来院されました。
歯科用レントゲンと歯科用CTで精査したところ、根尖部に直径10ミリ程度の歯根嚢胞が認められ、抜歯の適応症でした。
歯を抜いて嚢胞を摘出する手術は、口腔外科の基本中の基本です。中には大学病院に転院させる歯科医院もあるようですが、当院では私が治療、手術を行い、必ず良い結果を残します。私は失敗しないですから。
通常、歯根嚢胞ができるのは唇側で外側の骨が無くなるのですが、この症例は非常に珍しいケースで口蓋側に嚢胞が進んでいました。
抜歯して嚢胞を摘出し、その後、この歯が無くなったところをどう治すかが重要です。とくに30代の女性ですから、ブリッジで治すのか、インプラントで治すのか、部分入れ歯で治療するのか、その3択でしたが、やはり健康な歯を削りたくない、隣の歯を何かの材料で接着させるような治療は受けたくないということで、インプラントを選択されました。
当院では患者さんに対し、治療を行うタイミング、使用するインプラントの種類、どのくらいの深さに埋入するか、最終補綴物の形態がどのようになるかなどをよく説明するようにしています。どんな方法を用いたかはちょっと企業秘密ですが。審美領域に関しては、私の友人で日本顎咬合学会副理事長である林揚春先生と治療のコンセプトが似ているので、口蓋側に低位埋入させてしっかりとした初期固定を取るようにしています。
3か月後にインプラントが生着したことを確認して、仮歯を装着。患者さんの好みの色調を選択していただき、最終補綴物を製作してセットしました。
患者さんは傾向として、せっかく新しい歯を入れるならと、白い歯を希望されることが多いようです。写真に写すとわかることもあるので、私としてはもう少し赤みのある色を入れたかったのですが、この色調を選択されました。
こうしてぱっと見ても、どの歯がインプラントなのか分からないと思います。これが審美領域のインプラントです。
やはり、インプラントは10年以上もって当たり前、ちゃんと噛めるのも当たり前、きれいに入れるのも、どの歯がインプラントか分からなくするのも当たり前。これが当院の方針です。