全身的疾患や口腔内の状態を考慮し低侵襲な手術で前歯部に4本のインプラントを埋入した症例


50代の女性です。上顎の2番から2番まで(2-1-1-2)が保存不可能となり、抜歯の適応となりました。
治療の選択肢としては、4番から4番までをつなげたブリッジ、部分入れ歯、もしくはインプラントの3つがありました。
ご本人は、「いろいろ検査していただき、一番良い方法にしてください」ということでした。
行ったのは、CTスキャン、口腔内写真、模型を使っての噛み合わせの検査です。そして、全身的疾患についてもカウンセリングを行いました。
結果、いくつか問題となる点がありました。その一つが噛み合わせです。この患者さんは、噛み合わせが深い過蓋咬合のため、上顎前歯部の治療に入る前に、奥歯の噛み合わせを挙上したほうが良いことがわかりました。
さらに、上顎前歯部の骨が、頬舌的に非常に薄いことがわかりました。直径3ミリのインプラントがやっと入れられる程度です。
直径3ミリというのは、側切歯に対しての使用はメーカーの適用となっていますが、前歯部の1番に対しては推奨していません。
これらのことをご本人と相談したところ、骨造成を行い、骨の厚みができてからインプラントを埋入することになりました。
全身的な症状について話をお聞きしてみると、不整脈があり、ペースメーカを使用しているということです。その治療のため過去に3回、カテーテルアブレーションを受けたそうです。最近のペースメーカーはそうした治療をする時、電源をオフにもできるというお話でした。
今回の治療では、まず臼歯部の咬合挙上を行い、CT検査を行って、直径3ミリのインプラントを4本埋入しました。4本並べて埋入することで、支える強度を高くすることができます。
手術には歯科麻酔専門医が立ち合い、静脈内鎮静法を使用。低侵襲な手術を短時間で行うため、サージカルガイドを用いて行いました。
術中の不整脈が心配されましたが、ペースメーカーを使用しているおかげで出ませんでした。
ただし麻酔の使用は慎重に行い、止血剤の濃度も薄くしたということです。
使用するインプラントシステムについても工夫しました。D社のインプラントで直径3ミリのガイドシステムがあるのはXiveだけです。私は、EVインプラントの強度とプラットホームシフティングというシステムを使用したかったため、EVで揃えたいと考えました。そのため、Xiveのサージカルガイドを使いEVを埋入するというやり方をしました。歯肉、骨膜を剝がすことなく骨の中をイメージしてドリリングしたということです。
この手術は、できる限りのテクニックを駆使して行いました。全身的な症状を把握し、患者さんとのコミュニケーションを充分にとり、しっかりと情報提供を行い、使用するインプラントシステムを厳選し、できるだけ短時間で低侵襲な手術を行った症例です。
そして、最終補綴物が入るまでの約3か月間、患者さんのQOLを下げないためにしっかりとした仮歯を作ります。そうすることで、はじめて患者さんからの信頼を得ることができると思います。

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