治療中の患者さんのQOLを下げないよう固定式の仮歯を作り、前歯部に2本のインプラントを埋入した症例

 60代の女性です。

約10年前に右下の臼歯部、右下の前歯部、そして左下の臼歯部にインプラントを埋入して咀嚼機能を回復した患者さんです。もしインプラント治療をしていなければ、下顎は部分入れ歯、上顎も臼歯部は部分入れ歯になっていたので、インプラントの恩恵を充分に理解されています。

 上顎前歯部に保険で治療した前装冠が入っていたのですが、その部分の調子が悪くなり来院されました。

 右上2番と左上2番にインプラントを埋入し、2本のインプラントを使って前歯部のブリッジを作るという治療計画を立てました。

 当院で治療させていただくからには、必ずや綺麗でよく噛める歯を作りますが、そこに至るまでに約6カ月かかります。その6か月間、この患者さんのQOLを絶対に下げたくないと思いました。

とくに女性ですから、今はマスクをしているとはいえ、マスクを外すこともあるわけです。

ご本人と相談したところ、仮歯だとしても絶対に入れ歯にはしたくないということでした。

 そこで、最初に考えたのは、左右の1番は残し、まず左右2番にインプラントを埋入して、それが骨に生着した後にその2本のインプラント支台にした仮歯を作り、最後に左右1番を抜歯するやり方です。

 ところが、検査すると左右1番の歯根の走行を見ると、右は右へ、左は左へと流れているために、インプラントを入れたい適切なポジションに抜歯後すぐに埋入が困難であることがわかりました。

 そこで計画を変更し、10年前に埋入した左上3番のインプラントと右上3番を支えにして矯正用のセメントを使った固定式の仮歯を作りました。左右1番を抜歯して骨補填材を入れ、左右2番にサージカルガイドを使ったフラップレス手術でインプラントを埋入しました。

 インプラントが骨に生着したら、その2本を使ったブリッジを作ります。

 左上3番のインプラントの上部構造はこの治療中、保管しているので、最終的なブリッジができたら装着します。できるだけコストを下げ、患者さんのQOLを下げない方法です。ご本人も非常に喜んでくださいました。

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