セカンドオピニオンについて

最近、セカンドオピニオンを求めて来院される方が増えています。

神奈川新聞やはまかぜ新聞の取材を受けて、いろいろな記事を書いていますが、先日、神奈川新聞でセカンドオピニオンについて書いたところ、かなり反響がありました。

他院で治療中ではあるけれど、別の医院の意見も聞きたいということで来院される方はかなり多いです。

治療の方針は、どれが一番良いということはありません。その患者さんに合った治療法が一番です。歯科医が10人いればそれぞれ考え方も違い、その数だけ治療法も考えられます。

ただ、考えられる治療方法は全て情報として提供しなければならないと思います。自分にはその治療は出来ない、得意でないという治療法があると、歯科医はその治療法を説明しない傾向があると思います。

私がいつも言っていることですが、欠損補綴においてインプラントが一番良い治療法だとは思っていません。場合によっては、取り外し式の義歯やブリッジの方が良い場合もあります。それぞれの良さ、利点欠点や価格、治療期間も充分伝えなければならないと思います。患者さんの立場に立って、医療面接を行うことが大切です。

当院の最近の傾向ですが、インプラント治療についてはいろいろな治療を行っています。審美領域のインプラント。多数歯欠損、サイナスリフト、ショートインプラントを使ったケースなど、偏りなく広範囲の治療を行っている印象です。

その手術がうまくいったか、いっていないのか、最終的にジャッジするのは、手術直後に撮影するCTです。ガイドによる手術で治療計画通りのポジションに入っているかをCTで確認をします。

先日、ある患者さんがセカンドオピニオンを求めて来院されました。今通っている歯科医院で、「最近、うちはガイドを使ったオペしかやらない。だから価格が高いのです」と言われたそうです。しかし、ガイドを使った手術は、全ての症例に適応できるわけではありません。

このことについては、私は2012年に受けた歯科の出版社のインタビュー記事の最後に、ガイドに頼ってはいけないという話をしました。

長年のインプラント治療の経験があっても、見えないところで行うガイドは怖いです。それだけ、ガイドを使った治療は上級テクニックだということです

何かあった時に、リカバリーできる技術がある医師だけが行ってよい手術だと思います。

たった1本の埋入手術の場合、10分くらいで終わるケースと、すごく考えるケースがあります。それは、骨の状態や臨在歯、対合歯、軟組織の状態によって、考えさせられるのです。それならむしろ、骨膜粘膜を剥離し、治療箇所を目視した方が安心で良いと感じることもあります。

実際に、中には画像診断で見るほど骨が無いケースもあり、フラップを開けてインプラント埋入と共に骨造成も必要となり、追加手術を行うこともあります。だからガイドだけに頼ってはならないのです。

私もガイドを使って20年近く手術を行っていて、それなりに経験はあるので、頭の中では手術が骨の中でどのように進んでいるかイメージができています。何事も、イメージが大切だと思います。治療計画においても、画像診断をしながら、最終的にこの患者さんの口腔内はどのように変わるか、治療後のイメージが頭に出来上がっています。それができないといい歯科医にはなれません。

個々の治療は出来ても、全体をつなげイメージすることができない。その理由は、自分にできる治療の引き出しが少ないからです。できることが限られていると治療の選択肢が限られます。例えば上顎臼歯部にサイナスリフトができなければ、患者さんは入れ歯になってしまいます。そこに引き出しとして、サイナスリフトや骨造成を持っていたら、また違った結果が生まれます。

だから若い歯科医師はいろいろなことを勉強し、技術を習得することです。患者さんからの絶大な信頼を得られる歯科医になるかどうかは、そこで決まるのです。プロの野球選手もサッカー選手も歯科医師も、やれる時間は限られています。時間を有効に使い、情報交換できる良い仲間を増やすことがとても重要だと思います。

このページの先頭に戻る 医療法人社団 友生会 トップページへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA