1度の手術で上顎に10本のインプラントを埋入した症例

70代の男性です。

当院でインプラント治療を受けた方からの紹介で、最初からインプラント治療を希望して来院されました。

上顎に残っている歯は全て抜歯が必要なため、抜歯して総義歯を装着することを計画。右下の臼歯部に欠損部分があり、そこにもインプラントを埋入しました。
患者さんから、上顎もインプラントで治療できないかと相談され、2つの選択肢を提案しました。1つ目は、4本以上のインプラントを埋入し、取り外し式のインプラントオーバーデンチャーを製作する方法。2つ目は、多数のインプラントを埋入して、固定式のボーンアンカードブリッジを装着する方法です。

治療期間中もQOL(生活の質)を下げたくないとのことだったので、前歯部の抜歯窩の治癒を待った後、サージカルガイドを製作し、静脈内鎮静法のもと、一度の手術で10本のインプラントを埋入しました。10本なので、さすがにオペ時間は1時間ほどかかりました。

翌日、経過を見せに来院して下さいましたが、痛みも腫れも全く無かったということです。

今後の流れとしては、3か月後に、埋入したインプラントを使った仮歯を装着し、経過を診ながら患者さんの要望を聞いて最終補綴物を装着する予定です。

この症例のように1度の手術で多数のインプラントを埋入するケースと、何回かの手術に分けて埋入するケースがあります。術前のCT検査の結果を見て患者さんの骨の形態などを考慮し、どちらが良いか診断しなければなりません。

最近当院では、このような全顎にわたる多数歯欠損に対するインプラント治療が非常に増えています。これは、高齢化社会であることの一つの表れだと思います。

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