ここ最近、初診の患者さんで上顎の臼歯部が腫れた、違和感があるという方が多くなっています。
CT検査をおこなった結果、歯に原因がある歯性上顎洞炎を起こしかけている患者さんを何人か発見することができました。
いま歯科大学では上顎洞炎の罹患率として、鼻からの鼻性上顎洞炎が60%、歯性上顎洞炎が40%と言われています。早期に発見して原因となっている歯を抜歯、もしくは根管治療することによって、大きな上顎洞炎に移行する前に対応することが重要です。ただ、無症状で徐々に上顎洞が炎症を起こすケースも少なくありません。
こちらの患者さんは60代男性です。
左上の臼歯部に違和感と腫れを訴え来院されました。他院で4、5年前に上顎臼歯部を抜歯したそうですが、充分な掻把がされていなかったために治癒不全を起こし、口腔と上顎洞がずっと交通していたということです。それが原因で歯性上顎洞炎に移行していたことが、当院のCT検査で判明しました。
全身麻酔で行うため1週間から10日間の入院が必要となります。このようなケースでは個人病院で対応できないため、毎週木曜日に勤務している地域中核病院に転院していただき、私が全身麻酔で手術を行いました。
上顎洞根治手術を行うことで、鼻の症状も改善します。約1時間半のオペ時間で無事終了することができました。